滋賀愛が強すぎる僕が紹介する今朝のお菓子は彦根の和菓子、【あわの海】
昨日までの金沢うら田ウィーク、お楽しみいただけたでしょうか。
近日、「永久保存版金沢うら田名鑑」をお届けしますのでお楽しみに。
さて。
通常投稿に戻って1発目は滋賀の和菓子です。
何を隠そう、滋賀は僕の第二の故郷でしていつでも滋賀観光大使の責務を負う覚悟はあるのです。滋賀県もしくは県内各自治体関係者の方がもしお読み出したらご連絡くださいませ。
大学の卒業論文は浅井久政について書き、竹生島には二度上陸、滋賀詣は毎年欠かさぬyutaです。
そんな滋賀愛が溢れる僕がいただくのはこちらです。
ジャン。
彦根の老舗和菓子屋、いと重さん。
紙袋の中身は。。。
むむ。
包紙を脱がしてみよう。
現れたるは彦根銘菓【あわの海】
↑いと重さん公式
彦根といえば滋賀が誇る城下町、近年は白いネコでも有名ですが実は隠れたお茶どころ。
幕末の藩主、井伊直弼は茶人としても達人でしてその所縁か彦根も茶道が盛ん、和菓子屋さんも多いのです。
こちらの【あわの海】は井伊直弼公の和歌から命名されたようで
あふみの海
磯うつ波の
いく度か
御世にこころを
くだきぬるかな
井伊直弼公御歌
という直弼の詩が残ります。
その詩を体現した【あわの海】、
小倉餡を白と黒の二層に重ね食べ応え抜群の一品。白い部分はシャリシャリと餡子の部分はぎっしりとで大満足。
日持ちもしますので彦根のお土産和菓子としてもいいかも。
取り寄せもできますのでリンクも貼っておきますね!
いと重 本店
住所〒522-0064
電話番号フリーダイヤル:0120-21-6003 / 代表:0749-22-6003FAX番号0749-26-2645
営業時間8:30 ~ 18:00
定休日毎週火曜日
感動のフィナーレは春の恋みくじ!【春占(はるうら)】
人はいさ
こころも知らず
ふるさとは
花ぞ昔の
香ににほいける
この詩はとても好きなもので、なんど口ずさんだか分かりません。
変わってしまう人の心と変わらない花の美しさを対比したもの。
なんで人の心は変わってしまうのでしょう。。
あんなに2人で笑いあっていろんなところに行ったのに、その想いでももはや僕を苦しめる刃以外のなにものでもない。。
なんて、初恋にやぶれた10代のメンタリティで呟いてみましたが人は変わるからこそ面白いのであり、変化があるということは成長かもしれないし、心の移り変わりの先に結局、もとの位置に戻ってくることだってあるかもしれません。
今日別れた恋人たちも生まれ変わってめぐりあうよ
さて。
お届けしてきました金沢うら田ウィーク、感動のフィナーレです。
最後はこれ!
【春占(はるうら)】
定番ものではなく限定ものです。
金沢の正月の風物詩に辻占というものがありまして、御神籤が入ったお菓子をいくつか取り上げ出てきた御神籤を組み合わせて文章をつくるというもの。
⬆︎詳細はこちらが詳しかったので引用としてリンクを貼っておきます
なるほど、本来なら正月限定の辻占をこの時期に発売し春の門出や恋の行方ひ悩む人間に買ってもらおうという魂胆ですね。
エアリーフローラという石川県オリジナルの花を模した砂糖菓子が恋の悩みを膨らませます。
ここはひとつ、僕も占ってみようではないか!
結果はこちら!
(2つでは文章にならなかったので3個いただきました♪)
ウキウキして
いつまでも
隣の芝は青いだけ
なんて深淵なる問いかけなんだ。。。
どれだけ心弾んだところで、いつまでもここではないどこかを羨むだなんて!
あぁ、それでは僕らに未来はない。
もう他所を羨むのはやめよう、もそっと僕らの日々の暮らしを大切にしよう、僕らの芝を青く美しくすることに、心をくだこう。
美しいものを探すのではない、ここを美しくするためにどうするかを考えよう。
ありがとう、うら田さん。
最後の最後にこんな素敵なギフトをくださるなんて。
こうして僕の金沢うら田ウィークは閉じて行った。
レポート 銭屋五兵衛を想う【霜の花茶会】その④
当日。
天気はこの時期の金沢にしては珍しい快晴。
申し分なし。
茶室【拾翠園】へと入ると、その狭さに改めて驚く。
三畳向切。
茶室の大きさと、そこで行う茶の優劣に相関関係は無いと思うが狭い茶室ならば人と人の距離が近いためやはり緊張感が増す。今回初めて小間で茶をやって分かったが、ここまで狭いとそこで自分の考えと裏腹な言葉はまずでてこない。他者に対し自己を開示せずにはいられない。お互いの考えが詳らかになり主客の交わりがなされる。
隠し事などせず、互いの心が交わりあい自分と他者の境目が消失していく。ましてや茶室に土、茶碗も泥のような塊を使うとなると自然とも一体化し自己という存在が融解していく。。
利休の二畳の茶室とはそんな思考を閉じ込めたものだったのかもしれない。
道具を置き合わせ点前座に座ると客との距離の近さを更に実感する。
小間に白磁の水指に寂びた茶器、大振りの茶碗が置き合わされるとモダンでなんとも美しい。
菓子皿に、この日のためにオーダーした菓子を添えるとこれもまたあう!
白菊に霜が降りたような可愛らしい菓子。
名前はそのまま【白菊】では表現が直接的すぎるので【初霜】とした。
床には軸がわりに茂八郎の願文を。
大酒をくらって失敗したのだろうか、今後千日は酒を断つと誓っている。
脇には九谷の空の杯を添えておく。
そして、銭屋事件や、父親のことなども頭をよぎり、ポーズではなく自然と頭を垂れ手を合わせた。
さて、文が長くなってきたので端折るが、手前味噌ながら来てくださった皆さんには概ね喜んでいただけたようでホッとした。
忘れられないのは、茶を飲み終わった後も茶室で語り合う皆の姿だ。
先に、自己開示をせずにはいられないと書いたが全員が和やかにいつまでも団欒している様子は、微笑ましいというか、亭主冥利に尽きる。
小間という空間の不思議な力を認めつつ、今回の茶会のレポートを終えようと思う。
参加いただいた皆様、そして話をご提案くださった浜さん、ありがとうございました。
永久保存版になりつつある金沢うら田ウィーク、本日は生姜の風味豊かなサブレ【金風】だぜ
上生菓子からはじまり、バレンタイン限定もの、どら焼き、もなか、といろいろ金沢うら田さんのお菓子をご紹介してまいりましたこの特集。
今朝は生姜サブレのこちら。
【金風(きんぷう)】
袋を開けますと中には2枚のサブレ。
ふんわり生姜の風味がただよう。
金沢の生姜サブレもとい煎餅というと柴舟小出さんが激有名ですが、柴舟に比べると生姜がキツくなく食べやすい。生姜を塗る系のお菓子が苦手でも食べられそう。
食感サクサクのこちらのサブレ、うら田さんの公式金風【生姜サブレ】│金沢うら田によるとどうやら新商品だそうです。
紅茶なんかにもあいそうかな☆
1つ130円(税込)です♪
金沢駅百番街内「あんと」内
TEL:076-260-3774
営業時間 8:30~20:00
定休日 なし
レポート 銭屋五兵衛を想う【霜の花茶会】その③
茶道を始めた当初から、いつか銭屋五兵衛に関連する場所で、銭屋と所縁のある人物の前で、茶を点てたいと僕は考えてはいた。
なので、今回の浜さんからのご提案は有難くも
「こういう形で来るのか」
というある種の呆気なさが僕の中にあったこともまた事実。
躊躇しながらも引き受けたからにはしつらえを考えねばならない。
まず真っ先に思い浮かんだことは、先祖の茂八郎が銭屋を去る際に提出した諫言書【名残の霜】だ。
今回、僕がお点前することは、大仰にいえば茂八郎が喧嘩別れして160年ぶりほどに髙橋家と銭屋が関わることでもある。
茂八郎の名残の霜から、何か地続きであることをできれば、、、と思い、ない知恵を絞る。
名残の霜。
霜といえば、“心あてに”からはじまる、有名な百人一首の詩が思い起こされる。
おきまどわせる白菊の花。
そこで、非常に単純ながらお菓子は白菊の花をモチーフにしたものを使うことに決め、和菓子屋のご主人に僕の意図と、和歌をそえてお菓子づくりを依頼した。
次に決まったのは茶入。
今回お点前するのは三畳向切の小間。
ならば、薄茶ではなくやはり濃茶を練りたい。
あいにく僕は茶器を持ち合わせてはいないため知り合いのお茶人から借り受けることにした。
実際にその茶入を手に取ると、ありふれた焼物の茶入ではなく金工の作品で、しかも金属の美しい光沢や象嵌の華やかさがあるわけでもない、寂びた風情の茶入。。
素材の対比を考えるならば、備前や信楽など焼締系の茶碗を置き合わせるのもいいかもしれないが僕は友人でもある作家、魚津悠くんの寂びた、マットな茶碗を考えた。
この茶碗は寂びた風情ながらやや大振りで力があり、研ぎ澄まされたフォルムの茶器に合うのではないかと思ったから。
自宅で茶器と茶碗を置き合わせてみる。
想像以上に良い。
水指は僕の茶会では定番のこれまた魚津悠くんのもの。茶碗と茶器との相性もまずまず。
俄然、茶会が楽しみになってくる。
このとき、深夜の2時だったけれど僕は気持ちが高ぶって眠れなくなっていた。
あとは、茶室でどうなるかだけ。
朝が来るのが楽しみだった。
そしてこれが実際に置き合わせたもの。
それぞれミニマムなデザインながらも自然と調和し美しい。
見た目と香り、そして名前も春らしい【桜花】
気がつけば2月も残り1週間。
早いです。
もう桃の節句もすぐそこで油断したらあっという間に花見🌸の季節。
そんなに急がないでくれよと季節のすすみを恨めしく思いながら茶のひと時は、春らしく。
今朝は金沢うら田さんのこちら。
むむ、何だか春らしい佇まい。
桜をモチーフにした最中、【桜花】です。
桜あんが練りこんであり袋を開くとほのかに桜の香りがやってまいります。
春やねぇ。
餡子は粒あんではなく漉し餡で中央にお餅をサンド!
桜色の皮といい桜の香りといい春を感じるこちらの最中、季節限定ですのでお早めに!
さて、先週からお届けしている「金沢うら田ウィーク」ですがもううちの奥様がうら田さんのお菓子をたくさん調達してきてくれたので、もう2日ほど延長いたします。もうしばらくお付き合いを!
金沢駅百番街内「あんと」内
TEL:076-260-3774
営業時間 8:30~20:00
定休日 なし
レポート 銭屋五兵衛を想う【霜の花茶会】その②
僕が【銭屋五兵衛】という存在を意識したのは大学3年の夏だった。
ひたすらアルバイトに明け暮れ、アルバイト代は車とお酒と旅行に消えていた大学生活も3年ともなるとゼミを決め卒業論文の準備をせねばならない。
僕はもともと興味のあった戦国時代関連をやろうと思っていた。
けれど、なぜか、本当になんでかは定かではないのだけれど、家にある古びた文書を発見した。
こう書いていて思い出してきたけど、ひょっとしたら7つ歳の離れた兄がお酒を飲みながら「家の物置には古文書があるんだ」と言っていたことを思い出したのかもしれない。
それまで21年間開けたこともなかった物置をひっくり返し僕は埃にまみれ無造作にダンボールに入れられた古文書を手に取った。
その古文書にはいたるところに「髙橋」の文字があった。
自分の祖先らしい人物のことが書かれた古文書。
そこから僕は「卒論では髙橋家の文書をやろう」という熱病に憑かれて古文書を読み関連する銭屋五兵衛や羽咋市の歴史も調べた。
しかし結論を書けば、結局それは挫折した。
学部内のある教授が僕の古文書に対しやっかみを言ってきたことで一気に興醒めしたのだ。
なんだったろうか、卒論で自分の家の研究なんてするのかだとか、君の家の史料はとてもありふれていて平凡なものだよ、だとか、まぁ今にして思えば「さもありなんだな」と思うのだが当時はなんだかムカっとしてしまったのだろう。
結局2ヶ月ほど半端に調べてやめてしまい、卒論は滋賀県の戦国大名について書いて終わらせた。
次に銭屋五兵衛と出会うのは大学を卒業して最初の夏。
兄がお盆に帰省したときに、僕が以前髙橋家の古文書について調べたことをそのとき初めて話すと「詳しく調べて教えてくれよ」と言ってきたことがきっかけで、2年前に調べかけたままの髙橋家について調べなおしたのだ。
そのときに色んなことを初めてきちんと知った。
髙橋家が平家の落人伝説の家らしいだとか、銭屋五兵衛の河北潟干拓の際の人手として羽咋周辺の人夫を斡旋したらしい(この箇所についてはうろ覚えなので正確な研究成果かは不明です)、だとか、明治以降は塵濱村(現石川県羽咋市千里浜)の村長をつとめていた、など。
(このあたり、昭和40年代に編纂された羽咋市史に詳しく記してあった)
そして、銭屋五兵衛を顕彰する「銭五茶会」なるものが毎年催されていることも知った。
この時既に茶道を習っていた僕は、いつか銭屋五兵衛に関する茶室で、集まりで、お点前でもできたら何だか縁だよなぁとぼんやりながら考えたのだった。