僕を工芸に導いた?Y先生
自分の位置を知ること、ということで思い出したのが【機位を知る】という話。
機位とは何かといえば、航空機の位置関係のことだそうで今自分がどのあたりを飛んでいるのか、ということだそうな。
僕の大学時代、個人的に慕っているY先生という先生がいた。
先生は都内の進学校を卒業後国立大学に進み、教員として勤めていたのに何を血迷ったのか30手前で美術大学に入学し直し、工芸(漆芸)を専攻。大学院まで進んだのに作家活動を断念。
本人曰く「制作センスの無さを痛感した」とのこと。
その後紆余曲折あって僕の通っていた大学の教授に落ち着く。
このY先生、経歴の通り?行動的で熱い人で僕の中ではいくつも語録があって、1限目の講義に遅刻者が続出したとき、
「お前ら、のほほんと大学に来ているかもしれないけど、そんなことでいいのか!この中にはいろんな奴がいるだろう。目標に向かって燃えている奴、不完全燃焼な奴、火すら着いていない奴!お前ら、そんなことでいいのか!」
って1限目からヒートアップして、引いてる学生もいたけど僕はこれで一気に先生が好きになった。
先生の講義で初めて工芸というものを知り、観に行き、調べた。3年生、4年生にもなると単位はほとんど取得していたけど先生の講義は可能な限り受講したものだ。
そんな、4年生の時の講義中ふとした時に「機位」の話を先生がしだした。
自分の叔父貴が太平洋戦争で零戦のパイロットだった、という話しで、機位を見失うと闇雲に広い空と海を泳ぐことになり、果てには燃料切れになり墜落してしまう。
それくらい航空機にとっては機位を知ることが肝要。
だから、精密でなくてもいいけど大雑把にでも進んでいる方向を把握することが大切。
君たちの人生も、色んな寄り道や回り道があるだろうけど自分はどういった方面に進みたいのか(興味の方向はどこか)を意識することが大事だよ、という話だったと思う。
あれから11年、自分はやっぱり工芸や茶道に関心があるのだなと、これを描き進めながら改めて思う 。
【KOGEI ART FAIR KANAZAWA】