レポート第116回【金沢歴活】「エルメスに学ぶ伝統工芸とモードブランドの違い」
10月27日に歴活にてお話したエルメスについて。
当日使用した参考図書と、テキストはこちら。
竹宮惠子さんの漫画はなんとエルメス公式なのです。非常に分かりやすくエルメスの歴史が描かれているのでオススメ。
https://www.amazon.co.jp/エルメスの道-中公文庫―コミック版-竹宮-惠子/dp/4122035643
そもそも、エルメスに興味を持ったのは今春に趣都金澤のフォーラムで西陣織の細尾真孝さんが「なぜエルメスやヴィトンは職人工房からメゾンになって、西陣はそうでないのか?」のようなお話をされていたからです。
確かに、今日メゾンブランドと呼ばれるブランドの創立者はだいたいが技術を持ってのし上がった職人たちばかり。
成功を夢見てパリに10代で上京したヴィトンくんやエルメスくんが下積みを経て工房を構え、次世代でメゾンとして発展していく。
例えば、いま現在でもエルメスは創立者から6代目当主がCEOをつとめる。
日本の伝統工芸のように、革職人6代目エルメスとして失われつつある技術を現代に伝承する職人の末裔ではなく、世界で6000億円を売り上げる会社のCEOとしてメディアに登場する。
技術が失われないように保護・保存するのではなく(日本のいわゆる人間国宝は技術を保存するために助成金が支払われる)創立者が築いた技術を価値として競争力として活かしブランドビジネスの世界でサバイブする。。
結果として技術は残り、物も残り新しく生み出される。
思えば西洋は前時代の技術をファッション分野へ応用したが、日本は技術を現代アートへ応用する。西洋で技術を現代アートへ応用するというアーティストは寡聞にして知らないのですが(著名な人でいたような気もするんだろうけど)
しかしそれは、結局アートもファッションも西洋が作ったルールで動いているから。
ファッションの世界にいると余計に分かるが、いや当たり前かもしれないが現代のファッションは西洋のルールに支配されている。
身もふたもない話だけどそれが西陣織がエルメスになってない理由ともいえるとも思います。